海の個性派、目立たないけど働き者の 『あさり』

食品図鑑

あさりは、古代のゴミ捨て場である貝塚から その貝殻が発見されているほど、私たち日本人にとって 大変なじみ深い食用貝のひとつです。

あさりとは「浅い水に住む貝」の意味で『 漁る(あさる) 』という言葉が、あさりの語源 と言われています。


さてさて、あさりの貝殻を思い出してみてください。
良く見ると微妙にそれぞれ異なった複雑な幾何学模様をしており、十人十色 ならぬ 『 十貝十色 』 とでも言えるほど。

このように同じ種類のもので 多様の色、模様がある生物は珍しいのだそうです。

このあさりの色や模様には、遺伝により一定のパターンがあり、場所によって多い色・模様があり沼地など泥の多いところにいるものは、黒くなって模様も消えてしまうのだとか。

ちなみに一般的に国産物は柄が鮮明なものが多く、輸入物は柄が薄いものが多いと言われます。

人もペットも、そしてあさりもすべての生き物にとって生きていく環境って大きく影響するのですね。


また、あさりは 美味しい食べ物であるだけでなく実は大変な働き者 ってご存知ですか?

彼らは砂に潜ったまま、海水を大量に取り込むことで水中のプランクトンなどを食べているのですが、

なんとその取り込む水の量が
1個体で

1時間に約1L
1日に約10L!!

と言われ海水を濾過食することで 水質浄化をしてくれるのだとか。

今度、潮干狩りに行ってあさりを獲った時、または店頭であさりを見かけたら
『海をきれいにしてくれてありがとう。おつかれさま。』
なんて、ちょっとねぎらいの言葉をかけてあげてそのあと、美味しくいただきましょう♪

そんなあさりは、小さな身体なのに栄養もたっぷり。
疲労回復・造血作用効果などが期待でき私たち人はもちろん、ペットにもぜひ、あげたい食品のひとつです。

食品図鑑 『あさり』

◆旬

一般的には 春。
地域によりますが 5〜7月が 一番身が肥えていて美味しい と言われます。
春と秋に 産卵期を迎えるため、栄養を貯めこみ肥えているものが多いのですが、特に春は 水温が上昇することで エサとなるプランクトンも豊富になりより多くの栄養を取りこむため ぷっくりしているものが多いのです。


◆主な栄養成分

●ビタミンB2、B12
…特に 造血作用のあるビタミンB12は 多く含まれています

●鉄

●コハク酸 (貝類に多く含まれる旨味成分)

●タウリン
あさりの身はもちろんですが、煮汁にも旨味や栄養分がたっぷり含まれているので煮汁も一緒にいただきましょう。
* 貝類が苦手な犬猫には 煮汁をフードにかけてあげるのもオススメです。


◆選び方

●中くらい程度(5cmくらい)の大きさのものが オススメ。
*大きいからといって大きい身が入っているとか、美味しいものであるとは限りません。
(↑ ただし、『 大あさり 』 は除きます)

●殻の模様が くっきり鮮明なものを選ぶ
*黒っぽいものは泥の多いところで育ったものが多く砂が抜けにくく、逆に、白っぽいものは浅瀬で育ったものに多く美味しくない、と言われます。

●平らなものを選ぶ
*一見美味しそうに見えるぷっくりしたものは『団子あさり』と呼ばれ、浅瀬で育ったものに多くみられるもの。
一般に 浅瀬よりも沖海で育ったものの方が美味しいと言われます。

●新鮮な物の見分け方
①固く閉じたものを選ぶ
力を入れて貝殻をずらそうとしてみても、新鮮なものは びくとも動きません。

②塩水につけこむ
海水と同濃度の塩水につけこむと 新鮮なものほど勢いよく汐をふきます。


◆調理のポイント

●基本的には 加熱
新鮮なものは 生食可能なものもありますが、オゾン・紫外線殺菌など特別な処置をしているもの以外は
加熱して食べるのが安心です。

●砂抜きをする
海水、あるいは海水と同じくらいの濃度の塩水につけて薄暗いところに置いておくと 効果的に砂抜きが出来ます。
水は数回変えてあげることも忘れずに。
そのままにしておくとせっかく吐き出したものを、もう一度吸い込んでしまいます。
※砂抜き済み というものも
同じように塩水につけておくと、汐と一緒に汚れを出します。

●潮出しをする
食べる前にザルにあげ 1時間以上置いておき(暑い時期には冷蔵庫へ)、海水(塩水)を吐き出せさるもの。
この状態は、水中に住むあさりにとって、ストレスを与えることになり、美味しくなる成分である コハク酸が ぐ〜んと 増えるそうです。


◆保存方法

●毎日水洗いし、つかる程度の海水(または同濃度の塩水)に入れておけば2〜3日はOK。(暑い時期には冷蔵庫へ入れましょう)
新聞紙など 空気の入るようなもので 蓋をすることも忘れずに。
汐をふくので、大変なことになりますからね!

●砂出しが終わっていれば、
しっかり水切りをし、新聞紙に包みビニール袋などに入れ、冷蔵庫の野菜室に入れておけば、小スペースで保存可能。
こちらも 2〜3日はOK。

●冷凍可能
殻付きのまま 又は、むき身でよく水洗いし、砂抜き・潮出しの処理後、真空状態になる冷凍可能の保存容器 (ジップタイプの冷凍保存袋がオススメ)に入れて 冷凍庫へ。
※殻付きのまま保存した場合は、調理する時は、凍ったままで。
(自然解凍だと貝が開かないことが多いです)
冷凍保存は約1ヶ月OKですが、できるだけ早めに食べましょう。

(文章:かとうゆうこ上級指導士 )

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