今回の食材は、
世界でも北海道南部の太平洋沿岸でしかとれない
日本固有の魚【ししゃも】です。
ししゃもが日本固有の魚だってとこ、ご存知でしたか?
ふだん町の居酒屋やスーパーで
【子持ちししゃも】
として親しんでいる魚の90%は
日本固有のししゃも(本ししゃもという)ではなく、
別の種類の魚なのです。
本ししゃもの漁獲高減少のために
本ししゃもの代用として利用されている、輸入物の
【カラフトシシャモ(カペリン)】
という魚です。
こちらは本ししゃもに比べ価格も安く、
外観、食感が本ししゃもに似ています。
ししゃもは、アイヌ語の
●susam(スサム)=柳、
●ham(ハム)=葉
に由来して柳葉魚と書きます。
アイヌの伝説には
飢餓で苦しんでいるアイヌたちが神様に助けを求め、
神様が柳の葉に魂を入れて川に流たところししゃもとなり、
アイヌたちが救われたとあります。
伝説にある川は
北海道のむかわ町を流れる鵡川とも言われています。
鵡川町に伝わる神々へ豊漁を祈る儀式
【シシャモカムイノミ】
は、ししゃも漁の前に行われ、
今もししゃもは神がくれた霊魚として大切にされています。
鵡川町は、
平成7年にししゃもを町魚に制定し、
森や川を守って、
漁獲高が減少しているししゃもを
町の資源として残す取り組みをしています。
そんな神様の贈り物である【ししゃも】の
本物の風味を味わってみたいとネットを覗いてみると、
一匹300円前後の高値に驚かされました。
本ししゃもの減少が原因とか。
でも一度本物の味を味わってみたいですね。
きっと私が今日までに食べてきたししゃもは
【カラフトシシャモ】のようですから。
食品図鑑 『ししゃも』
◆旬
ししゃもは回遊魚で、
産卵のため河口に上ってくる10月から11月にかけての約一ヶ月間漁が行われます。
この時期のメスは卵がびっしりで体は脂っぽくなくさっぱりしています。
オスは味ではメスに勝るとか!
地元では10〜11月の漁期には生ししゃもを刺身や寿司ねたにしていただきます。
※ししゃもの獲れる地域で見られる、獲れたししゃもを塩水につけて葦の茎にさして天日干しする秋の風物詩【ししゃものすだれ干し】の光景は圧巻だそうです。
◆主な栄養成分
生干し、焼きししゃもの栄養素 (100g当り)
日本食品標準成分表(5訂)
エネルギー 177kcal
たんぱく質 24.3 g
脂質 7.8 g
炭 水 化 物 0.2 g
カルシウム 360mg
鉄 1.7mg
マグネシウ 57mg
銅 0.11mg
亜鉛 2.1mg
ししゃもは栄養的にとても優れています。
なかでも、カルシウムは牛乳の4倍!
成人が一日に必要とするカルシウム600mgを
7〜8匹で摂取できることになります。
頭から丸ごといただけるししゃもならではですね。
また、免疫力強化や粘膜の強化に効果のある
ビタミンA、B2も含まれています。
不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
ししゃもに含まれる
セレン、セレニウムは抗酸化作用があります。
栄養成分はカラフトシシャモもほぼ同じでした。
栄養的にも引けをとかないカラフトシシャモも大いに利用したいですね。
◆選び方
本ししゃもの生はなかなか手に入れることはむずかしそうですが、
生干しのししゃもは冷蔵、冷凍食品として流通しているので一年中利用できます。
スーパーなどで見つけたししゃもが本ししゃもなのかカラフトシシャモなのかは
簡単に区別できそうです。
☆鱗を見ます。カラフトシシャモの鱗はとても小さくて銀色です。
本ししゃもは鱗が大きく、体もカラフトシシャモの細長いのに比べて
太くなっています。
素人目には難しいかもしれませんが、値段のひらきが大きいので
それが目安になりそうですね。
◆保存方法
旬の時期は短いので冷凍物として流通しています。
冷凍で60日前後
冷蔵で3日前後です。
◆調理のポイント
旬の時期、生で手に入れば、地元で親しまれている
「ししゃもの生ずし」や
「ししゃもどんぶり」
など生食メニューも楽しめます。
これには、あっさりとした口当たりで甘みのあるオスのししゃもが使われます。
多く流通している生干しをさっとあぶっていただくのは、
ししゃもを頭からすべていただける最高の調理方法ですね!
栄養も丸ごといただけます。
焼く時は頭や尾を焦がさないようにそばを離れず焼くことです。
人はフライパンでバターしょうゆ焼き、しそニンニク焼きなどおススメです。
焼き以外にも甘露煮や天ぷら、南蛮漬け、粕や西京漬にして焼いていただくなど
頭か食べられる調理法があります。
ししゃもを春巻きの皮に、大葉やチーズといっしょに巻いて揚げる
「ししゃも春巻き」もお試し下さい。
【犬や猫に与える場合】
さっとあぶってから、骨を取り除くと良いでしょう。
私たちは頭から骨ごといただけますが、火を通した骨は与えないほうが良いです。