病気の原因となる排泄不良
人間も同じですが、
愛犬・愛猫の健康維持のカギを握っているのは、
摂取と排泄のバランスがきちんと取れているかどうかです。
多くの場合、「どんな栄養素を与えたらいいのか?」ということに関心が集まり、
排泄のことは忘れられがちです。
でも実は不十分な排泄が体調不良の原因になっていることが多いのです。
十分な排泄が行われていないのは、
体のどこかで詰まっているからです。
そのままの状態で、いくらいろんな栄養素を与えたとしても、
さらに詰まりがひどくなるだけです。
摂取から排泄までの流れをスムーズにすることが大切です。
この説明を飼い主さんにすると、
よく「ウンチは出ています」と切り返されます。
もちろん、口から肛門までの流れがスムーズであることは大切ですが、
それは排泄の流れのひとつでしかありません。
排泄にはほかの流れもあります。
「腸→血液→全身→腎臓→膀胱→尿」という流れです。
ウンチの排泄の流れを良くするには食物繊維の摂取が効果的ですが、
尿の排泄の流れを良くするのは水分の摂取です。
しかし、水分の摂取が十分でないと
「水分摂取不足→尿での排泄不足→体内に排泄しきれない老廃物が残る→衰えた器官に老廃物が蓄積→体調不良」となってしまうのです。
以前、寝てばかりで元気がない14歳の雑種犬を診察しました。
飼い主さんにドライフードだけの食生活から、
水分の多い手作りごはんに変えてもらったところ、
吠えて(それまでは吠えなかった)食事を要求するようになり、
散歩では元気に走るようになったのです。
決してドライフードが悪いわけではありません。
たまたま、あまり水を飲まない子がドライフードを食べることで、
排泄不良状態になり、このようになってしまうことがあるのです。
市販のドッグフードより手作りごはんの方が良いという話があります。
確かにドッグフードに使われている食材が及ぼす影響は無視できませんが、
私は臨床経験から水分摂取量が健康に大きく関係していると感じでいます。