鶏肉大好き→鶏肉がアレルゲン検査陽性
診療でよく、
この子、鶏肉が大好きで今までも毎日食べてきて、
血液検査でも問題が無かったのですが
先日健康診断で行ったアレルゲン検査で鶏肉が陽性になってしまって
「今までたくさん食べてきたからですかね?」
と言われ、鶏肉禁止になってしまいました…
でも大好きなんです…
この間も唐揚げを盗み食いされたとき慌てましたけど、
特に何も起こりませんでした…
鶏肉が陽性なのになんで症状が出なかったのでしょうか?
こんな感じのご相談をよく受けます。
アレルゲン検査は絶対的な指標なの?
私は大学院博士課程時代に臨床免疫学の研究室にいて
がんやアレルギーの研究をしていましたのでこの話は表に出てくる話と
出てこない話があって(どんなジャンルもそうだと思いますが)
そもそも、
アレルゲン検査ってどうよ?
という話があって、結論から申し上げると
絶対どころか参考程度にしかなりません。
アレルゲン検査は必ずしも現実を反映せず
あなたのかかりつけの先生も含めて
獣医師なら誰でも診療で経験していると思いますが、
症状がひどいのに、何も陽性にならない子もいれば
とっても元気で、健康診断にやってきた子がバリバリ陽性がある子がいたりして、
必ずしも現実を反映しないのが現実です。
人は数値やデーターで出されると弱いのですが、検査結果と現実が合わない時、
それは現実を優先するのが適切と考えますし、大学病院でもそう教わり実践していました。
ですから、検査結果で、鶏肉にアレルゲン検査陽性が出ていたとしても、
食べて、特に問題がないのであれば、何か問題が起こるまで見ていて良いのではないかというスタンスもありだと考えます。
何かが起こるくらいなら、なにもしない?
そんな話をすると、
「何かが起こったらどうするんですか?」とか
「症状が出てないだけで何か問題が起こっていたらどうするのか?」
と言う意見もあると思います。
確かにその不安はよくわかります。
===
何も起こらないように
何もしないをしよう
===
という考え方もあると思います。
しかし、アレルギー症状が無症状で起こるということはなかなか考えにくく、
それは起こってから対処すれば良いのではないかという考えもあると思います。
どちらが正解かといわれたら、どちらも正解なんだと思います。
究極の選択を迫られたときの考え方
しかし、陽性になる子は、いろいろなものが陽性になって、
陽性のものを食べないとなると、食べられるものがものすごく限られてくるなんてことも出てきます。
となると、「陽性のものは食べてはいけない」というわけにもいかないので、そんなときの考え方としては
1)取り返しのつかないような事はやめよう
2)取り返しのつく事は様子を見よう
というスタンスをお勧めしております。
ですから、杓子定規的にアレルゲン検査で全てを判断する獣医師さんもいらっしゃるし、
柔軟に対応してくれる獣医師さんもいらっしゃいます。
初期仮説→行動→結果→臨機応変に調整
どちらを選択するかは、飼い主さん次第なので、
どちらでもいいのですが、まずはこの方針でやってみようと初期仮説を立て、
状況を見て獣医師と相談しながら、臨機応変に対応をしていくが一番良いのではないかと思います。
このように、生物に絶対とか100%ということはありません。必ず例外があります。
ですから、初期仮説を立てて、まずは実践し、
出てきた結果を見ながら望ましいゴールに向けて調整を繰り返していくというのが現実です。
もし、「〇〇には〇〇一択!」という「白黒思考」、「100%か?0%か?」という意見に触れたら、私は慎重に判断するようにしています。
もしあなただったら、どうしますか?
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