というご質問が複数ありました。
不正確で、誤解を招く、リスキーな情報で、
事故につながりかねないので、修正しておきます。
まず、食品の寄生虫対策ですが、
【加熱調理】
が一番安全です!
■寄生虫対策は加熱調理!中心温度を意識!
寄生虫は熱に弱く、虫の体は、
タンパク質の凝固温度である60℃以上で、瞬殺できます。
このときの注意点は、食材の塊の
【中心温度】が60℃以上になる事が重要です。
●ブロックサイズが大きい
●冷凍ものを加熱する
などの場合、
中心部の温度が高くなりにくいので、注意が必要です。
■中心温度70度寄生虫は死滅する
一般的に、
【食中毒防止のための中心温度70℃】を守りさえすれば、
寄生虫は死滅し、感染防止できます。
これが全ての基本です!
これを踏まえて次は冷凍処理についてです。
■冷凍処理も中心温度を意識して!
寄生虫の中には、冷凍処理により死滅する種類があります。
ということは、死滅しない種類もあるということです。
リスクがゼロでないのなら、
冷凍処理を選択するのはいかがなものかと思うのですが、
魚介類は大丈夫なのです!
■魚介類の寄生虫アニサキスは-20℃45時間
たしかに、主に魚介類に寄生する寄生虫のアニサキスについては、
魚の中心温度を-20℃以下で24時間以上冷凍することが感染予防に有効だとされております。
最近ではアニサキスが特に多いらしく、
近所のお寿司屋さんにも保健所から
「魚の処理はどうしていらっしゃいますか?」と問い合わせが来たそうです。
そのお寿司屋さんは「ー60℃で一度冷凍してから使っています」と返答したところ、
保健所の方からは「それでお願い致します」と言われたそうです。
ひょっとしたら、冒頭の【-20℃で24時間冷凍】
は、アニサキスの条件だけをお読みになり
「寄生虫は全て…」と誤解して一般化してしまった方が流した情報かもしれませんね。
寄生虫はアニサキスだけではないので、
【-20℃で24時間冷凍で全ての寄生虫対策】
は、あまりにも不正確かつ不十分で、危険な情報だとわかります。
■生食用魚類は急速冷凍技術で-50℃以下
生食用魚介類の冷凍食品の場合、一般に
【急速冷凍技術で-50℃以下で冷凍】
されて流通しますので、寄生虫に関しては心配はいりません。
先程のお寿司屋さんも、-60℃で冷凍していらっしゃいますから、
私も安心して通えるわけです。
しかし、業務用と比べて、家庭用冷凍庫は注意が必要です。
●家庭用冷凍庫を過信しない!
家庭用冷蔵庫の冷凍庫内温度は、
仮に-20℃設定だとしても、庫内が-20℃には到達していないこともあり、
魚の大きさや、厚みによっては
冷凍庫内での中心温度や、
完全冷凍に要する時間が異なるので注意が必要です
(24時間冷凍庫には存在したが、中心温度が-20℃になっていた時間は18時間とか…)。
●釣ってきた魚の生食は注意が必要!
このような理由から、
【釣ってきた魚を刺身で食べること】は注意が必要なのです!
普段から魚を捌いている方なら気が付くかもしれませんが、
たまにしか包丁を持たない私のような方は、
魚屋さんで捌いていただくのがおすすめです。
●中途半端な塩・醤油・酢漬けは危険!
同様に、【中途半端】な塩・醤油・酢漬けは
●表面だけ
●中心部までしみ込んでいくのに時間がかかる
●寄生虫が塩、醤油、酢と接触する時間が短い
などの理由から、リスク回避には全くなりませんので、ご注意下さい!
ここまでは、魚の話です。次は本題の肉の場合です。
●肉は大きく2種類
肉は
・畜産肉(国内のと場や食鳥処理場で解体されるウシ・ブタ・ウマ・ヒツジ・ヤギ・トリ肉など)
・野獣肉(ジビエ肉やアレルギー疾患患者用の肉で、国内のと場や食鳥処理場で解体されたものではない)
に分けられます。
●畜産肉
国内のと場や食鳥処理場で解体される
ウシ・ブタ・ウマ・ヒツジ・ヤギ・トリ肉は、
専門の検査員による【と畜検査】が行われていますので、
検査済みのものは通常の流通ルートであれば安心とされています。
●輸入畜産肉
輸入された畜産肉も、冷凍で輸入されたものは同じく検査済みなので、
安全と考えられます。
ただし、
・チルド(-4~0℃)で輸入された肉
・海外旅行のお土産として保冷して持ち帰った肉
は加熱した方がいいでしょう。
次は、畜産肉のように、
確立された流通ルートを通っていない野獣肉の場合です。
●野獣肉
野獣肉には
いわゆるジビエ肉(シカ、イノシシ、野ウサギ、山鳩、真鴨など)と
アレルギー患者様用の肉(ワニ、カンガルー、ホロホロ鳥など)
などがあります。
これらの大半は、畜検査の対象とはなっていませんので、
例え冷凍輸入された肉であったとしても、
冷凍に強い寄生虫のリスクがゼロではないので、
中心温度が70℃以上になるように加熱してください。
とくに、野獣肉に寄生する旋毛虫(せんもうちゅう 別名トリヒナ)は、
-20℃くらいでは死にません。
2ヶ月以上、冷凍保存した後でも、
生食により感染者が出たという事件が発生しています。
野獣肉などを食材とする場合は、
たとえ冷凍状態で流通していたとしても、
必ず加熱調理して食べさせて下さい。
ジビエ肉の生食など、「何があっても受け入れますっ♪」
と覚悟した方のやることですので、
今まで何ともなかった場合はラッキーと考え、認識を改めて下さいね。
●肉は中心温度70℃で加熱する
以上のことから、
「肉を-20℃で24時間冷凍したら、
全ての寄生虫は死ぬから生で食べられる」
という情報は『不正確かつ不適切な表現』で、
特に野獣肉は『冷凍に強いトリヒナ』がいてもおかしくないことから、
冷凍処理で安心することはできません。
中心温度70℃(表面だけではダメ!)で加熱するのが一番安心出来る食べ方です。
このように、ちまたの情報には、
とてもリスクの高い情報も混じっております。
ネットの情報をうのみにせず、
適切な情報を判断基準にしてくださいね。
ペット食育協会の一般会員になると、
会長須崎が実際に飼い主さんから頂いた質問に対してお答えした、
質疑応答動画で偏らない知識を学ぶ事が出来ますので、
ぜひ、ご活用下さい。